もう随分前の話です。仲間の木工家と「小さな家具を作ったら面白いね、椅子はいいよね・・」とそんな話をしていました。不思議なものでその数ヶ月後にデザインの依頼が来ました。幼稚園で使う小さな椅子とテーブルのセットです。デザインは昔あった学校椅子を少しモダンにした感じで仕上げました。実際に作ってみたら、なんともかわいい・・で、座ってみたら・・
「あっ!」
とても懐かしいんです。その高さが、その景色が・・スッと子供の頃の感触、あるいは匂いを感じました。僕はその座り心地がとても気に入りました。なにしろ大人の椅子にはないものですから・・
大人椅子に関しては座り心地も勉強して、デザインも含め試行錯誤しながら既に何脚も作っていました。椅子デザインには特別な面白さがあります。でも、小さな椅子には家具としてもっと大きな可能性を感じました。
「不思議な座り心地」「デザインの自由さ」「椅子以外の使い方」「コンパクトさ」などなど・・
その瞬間に面白い発想が生まれました。
「子供椅子だけれど大人用」
こどもサイズでおとなも座れる椅子。子供も大人も楽しめる椅子。子供達は椅子、踏み台、遊び道具として使い、大人はちょっとしたときの腰掛けや飾り台として楽しめる椅子。
とにかく大人用ですからデザインや作りは長い年月を経ても良いようにしておく、上質な大人椅子と同じようにデザインして作ること・・今までの子供椅子にはない考え方になりました。
僕はいつも思っていました。作る家具は長持ちしてほしい。長く愛されるモノでありたいと・・もし、子供も大人も楽しめる家具が出来れば、世代を超えて使ってもらえるし、長持ちする本当の良さがきっと伝わるはず・・
「小さな椅子ならきっとできる・・」そう思いました。
それからしばらくして最初の1脚を作りました。今ではこの面白さに共感してくれる仲間もできて、バリエーションは30を超えました。
子供椅子だけれど大人用の椅子・・
僕たちは「小さい椅子」と呼んでいます。
これからも少しずつ作っていこうと思います。
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